大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高松高等裁判所 昭和54年(行コ)7号 判決

高松市寿町二丁目三番一号

控訴人

有限会社 末沢旅館

右代表者代表取締役

末沢英一

高松市楠上町二丁目一番四一号

被控訴人

高松税務署長

三木光義

右指定代理人

下元敏晴

徳弘至孝

七条英夫

清水福夫

大麻義夫

和泉康夫

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人代表者は、「原判決を取り消す。本件を高松地方裁判所に差し戻す。」との判決を求め、被控訴人指定代理人らは、主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の主張及び証拠の関係は、次に付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

(当審における控訴人の新たな主張)

一  被控訴人が昭和五四年一月一三日にした各異議決定(以下「本件各異議決定」という。)につき、同年三月九日控訴人によつてなされた国税不服審判所長に対する各審査請求(以下「本件各審査請求」という。)は、本件各異議決定の原処分である各法人税更正処分があつた日の翌日である昭和五三年八月二九日から起算して一年を経過しない期間内になされたものであるから、国税通則法七七条四項の規定により適法である。

二  昭和五三年一二月中旬、高松国税不服審判所の係官から控訴人に対し、税務署長がした異議決定に対する審査請求の期間は、異議決定書の謄本の送達があつた日の翌日から起算して二月以内である旨の教示がなされた。したがつて、右教示に係る期間内になされた本件各審査請求は、国税通則法七七条六項の規定により適法である。

(右主張に対する被控訴人の認否)

一の事実のうち、控訴人のした本件各審査請求が適法であることを争い、その余を認める。

二の事実を否認する。

(当審における新たな証拠)

一  被控訴人

乙第三号証の一ないし五

二  控訴人

右乙号各証の成立を認める。

理由

当裁判所も、本件訴えを却下すべきものと判断する。その理由は、次に付加するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。

当審における控訴人の主張一について

国税通則法七七条四項は、異議申立て及び本件のごとき二審的審査請求の場合を除く審査請求についての除斥期間を定めたものにすぎず、同条二項所定の期間経過後になされた本件各審査請求を適法となし得るような規定ではない(同条一項参照)。したがって、控訴人の右主張は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。

同主張二について

国税通則法七七条六項は、国税に関する法律に基づく処分をした者が誤って法定の期間より長い期間を不服申立期間として教示した場合について規定したものである。そして、成立に争いない乙第三号証の一ないし五によれば、右処分をした者に該当する被控訴人は、いずれも控訴人方に送達された本件各異議決定書の謄本において、本件各異議決定についての正当な審査請求の期間を教示していることが認められる。したがって、控訴人の右主張は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。

そうすると、本件訴えを却下した原判決は相当であって、控訴人の本件控訴は理由がないから、これを棄却すべく、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小西高秀 裁判官 古市清 裁判官 上野利隆)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例